家でも学校でも塾でもない、第4の居場所。自主勉応援団「まなび~ず」

家でも学校でも塾でもない、第4の居場所として、安曇野市内で開かれている自主勉応援団「まなび~ず」。
大学時代に家庭教師を務め、25 年間塾を営んできた小島龍哉(おじまたつや)さんが運営します。中高生を対象に、仲間や友だち同士が集える場を作ろうと、私塾を運営する傍ら、2022 年にまなび~ずを立ち上げました。
思い思いに時間を過ごし、関わりを持つ

合言葉は「何をしてもいい。何もしなくてもいい」。
まなび~ずに来る子どもたちは、大人たちと関わりながら、勉強やおしゃべり、カードゲーム、オンラインゲームなど、思い思いに時間を過ごしています。
参加者がお菓子の差し入れを始めたことから、お菓子を囲んでおしゃべりする「もぐもぐタイム」が定着。大人も子どもも入り混じり、たわいのない会話が弾みます。
仲間が仲間を呼び、現在市内を中心に子どもから大人まで、20~30 人くらいが利用しています。中高生以外に、仕事帰りの人や学習支援に携わる人など、さまざまな大人たちが自主的に集まってきます。
居心地の良さに惹かれて集まる多様な年代
ある男子中学生は「家に居るより居心地がいい。アットホームでいい雰囲気。人生を楽しんでいるような大人が多くて、こういう大人になりたいと思う」といい、女子高校生の一人は「個性豊かな大人と関わることで、違った視点で物事を考えるようになった」と、刺激を受けています。
不登校生徒の父親は「普段、高校生と接する機会もない。学びがあり、居心地がいい。父親が楽しんでいる姿が子どもに伝われば」と足を運び続けます。
「好き」や「得意」を拾い、学びたい人が学べる場所づくり

まなび~ずが発展し、不登校の親子を対象にした居場所も開設され、さらに、高卒認定試験に挑む人をサポートする取り組みも始まりました。
大人になっても学びの意欲を見せる参加者に触発され、小島さん自身も教員資格認定試験に挑むことになりました。
一連の活動の根底には、「その人の好きや得意を拾い、学びたい人が学べる場所を作りたい。子どもへのチャンスを広げ、子どもの可能性を試せる場にしたい。それで救われる子がたくさんいる」という思いがあります。
愛称は「おじー」。不登校支援に偏らず、広い視点で子どもに寄り添うことを大切に

自身も息子さんも不登校を経験する中で、「中高生の(居場所や学習)支援がおろそかになっている」と感じてきました。一方で、「不登校支援に偏ると、大事なものを見逃す。” 普通”の子のサポートも大事」と、広い視点で子どもたちに寄り添います。
「おじー」の愛称で、子どもにも大人にも慕われている小島さん。まなび~ずでは、いつでも好きなときに来ることのできる雰囲気づくりを心掛けています。
ずっと胸に秘めてきた「大人に夢を!子どもに未来を!」という熱い思いを、仲間と共に具現化してきました。「大人と子どもの結びつきをもっと強くしていきたい」とさらなる意欲を見せ、自らも夢を追い続けます。
団体情報
このインタビュー記事は、赤い羽根共同募金「令和5年度ポスト・コロナ社会に向けた福祉活動応援助成」により制作されました。
