多世代が交流する居場所「こどもカフェ・ラパス」

自然豊かな池田町の一角にたたずむ古民家を拠点とする「こどもカフェ・ラパス」。
新潟県出身の菅原(すがはら)久美子さんが、2021年に立ち上げました。
長野県が推進する子どもの居場所「信州こどもカフェ」の一環として、困っている人たちの居場所や、多世代交流のできる居場所づくりを目指して活動しています。
多様な経験を生かした食糧・物資支援活動

学生の頃から、「人のために役に立ちたい」という思いが強く、その意思を貫いてきました。
都内で国際協力や児童養護施設でのボランティア活動、ホームレス支援、難民支援などに長年携わり、看護師としても、身寄りのない人への訪問看護や、無料診療所の手伝いなどをしてきました。
信州への移住を機に、「こども食堂」を運営する「NPOホットライン信州」※と出会い、キッチンカーで困っている人たちへの食材や物資の提供を行ってきました。活動は今も継続しています。
多様な年代を受け入れる築約100年の古民家

拠点となるのは、約300坪ほどの敷地内にある築約100年の古民家。
災害時の避難所や登山者の宿泊所、学生が集える場など、「必要とする人の心休まる居場所になれば」という願いを込めて、スペイン語で「避難」や「平和」を意味する「レフヒオラパス」と名付けました。
疲れた大人の居場所づくりも大切に

現在、山岳ガイドや看護師の仕事をする傍ら、県内の小学校で養護教諭として勤めています。
高校生の自殺率の多さにも問題意識を向ける菅原さん。
「具合が悪い子どもの中には、家庭に問題のある子も多い。もっとストレスなく、平穏な気持ちでいられたら。大人(親)が幸せじゃないと、子どもは絶対幸せじゃない」と断言します。子どもを取り巻く大人の支援にも目を向け、「疲れた大人の居場所作り」にも力を注ぎます。
アウトドアやおしゃべりを通じて心の開放を
銃猟狩猟免許やブッシュクラフトインストラクターなどの資格も持ち、日常の延長として、アウトドアライフを楽しんでいる菅原さんは、「悩み始めたら、一歩外に出ると変わる」と言います。
これまで、登山などの野外活動に親しむイベントや米作りのイベント、囲炉裏を囲んでの相談会などを開いてきました。菅原さんに信頼を寄せる幅広い年齢層の人たちが、県内外から訪れてきます。
「子どもから大人まで、誰でも気軽に来て、お茶を飲んでゆっくりできる場所。みんな、何かしら悩んでいる。お話することで、気が楽になれば」と懐深く受け入れます。
※:NPOホットライン信州・・・長野県において、こども食堂の展開や生活物資・食糧支援などを行っているNPO団体。
団体情報
このインタビュー記事は、赤い羽根共同募金「令和5年度ポスト・コロナ社会に向けた福祉活動応援助成」により制作されました。
